2009年11月09日

医療機関とMS法人間の税務2

前回、医療機関とMS法人間の取引価格の妥当性がない場合、「伝家の宝刀」たる所得税法157条(同族会社の行為又は計算の否認)の適用がある場合を書いた。

今回、不動産管理料の判例で面白い事例を紹介しよう。

国税不服審判所の平成18年の事例で、所得税法157条同族会社の行為計算否認を適用せず、37条の必要経費で、全額管理料を否認した。

事例サマリー

○一人二役。甲氏が、甲自身の設立した不動産管理法人に賃貸料を支払い、その不動産管理法人から役員報酬を頂いている。

○不服審判所の方が実地検分。

1.プロの管理会社名で「空室の問い合わせ」との看板表示あり。同族の管理会社には一切看板ない。

2.プロの管理会社名とほとんど同一の契約内容である。プロの管理会社は、9時17時の時間帯である。一方、同族管理会社は24時間管理していると主張したらしい(笑)

3.管理実態がなければ、同族会社の行為計算否認の適用なく、全額否認となる。

○所得税法37条の適用。

http://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0402090000.html#y02

同族会社に支払った不動産の管理料について、所得税法第157条《同族会社等の行為又は計算の否認》を適用せず、同族会社は管理行為を行っていないとして、所得税法第37条《必要経費》により、その全額の必要経費算入を認めなかった事例

▼ 裁決事例集 No.71 - 205頁
 請求人は、所得税法第157条第1項の適用に当たっては、経済的合理性を欠く行為や異常な取引形式に基づき、所得税の負担を不当に減少させる結果となることが要件となるが、請求人が不動産の管理を本件不動産管理会社に委託した行為は経済的合理性を欠く行為でも異常な取引形式でもなく、また、本件管理料は、本件不動産管理会社に委託した管理業務の内容及び事業規模並びに収益の状況等個々の実態に応じて算定しており、恣意性が介入する余地はなく、不動産収入を得る上での役務の対価として相当な金額であるから、本件管理料は不動産所得
の金額の計算上必要経費に算入されるべきである旨主張する。
 これに対し、原処分庁は、請求人が本件不動産管理会社に管理を委託しているアパート及びマンション(以下「本件賃貸不動産」という。)に係る管理料は、委託する管理業務の程度が異なるにもかかわらず、全ての不動産に一律に不動産年間賃貸料の10%としているが、その算定根拠は明らかでなく、通常の商取引においては考えられない異常な取引形式であり、また、本件賃貸不動産については、M社等に管理を委託しているにもかかわらず、さらに本件不動産管理会社にも管理を委託する行為は、同社が同族会社であるがゆえになし得る行為であり
、純経済人の行動としては極めて合理性を欠く行為であるから、所得税法第157条第1項が適用される旨主張する。
 しかしながら、本件賃貸不動産については、[1]本件不動産管理会社の管理業務とされる定期的な清掃業務等は、別途、M社等の不動産管理会社に委託している管理業務と同一のものであり、M社等において本来の業務として行われていることから、当該管理業務を本件不動産管理会社に委託する客観的必要性は認められないこと、[2]本件賃貸不動産の敷地内の看板には、M社等の社名が明示されており、本件不動産管理会社が賃借人及び第三者の窓口等となっている事実は認められないこと、[3]本件不動産管理会社においては、管理業務を実施した
記録がなく、同社が管理業務を実施したことを客観的に認めるに足る証拠は認められないことなどからすれば、同社が本件賃貸不動産に係る管理業務を行ったことを認めることはできない。
 したがって、請求人が本件不動産管理会社に委託した業務は、いずれも請求人の不動産所得を生ずべき業務遂行上の必要性が認められず、また、本件不動産管理会社が管理委託契約に基づく業務について履行したことを客観的に認めるに足る証拠も認められないことから、本件管理料のうち、請求人の所得税法第37条第1項に規定する不動産所得の金額の計算上必要経費に算入すべき金額は、零円とすることが相当であり、所得税法第157条第1項の規定を適用する余地はなく、当事者双方の主張を採用することはできない。
平成18年6月13日裁決
posted by 金沢会計人 at 04:36| 石川 | Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年11月02日

医療機関とMS法人間の税務

現在、医療機関とMS(メディカルサービス)法人間の税務につき、研究を開始いたしました。

MS法人の業務は、診療所施設の賃貸・医療器械のリース・医療事務の業務請負・備品関係の卸・経理代行などです。

税務の論点は、医療機関とMS法人間の取引価格の妥当性です。

国税不服審判所の判例では、所得税法 157 条の「同族会社等の行為又は計算の否認」の規定を適用している例もあります。

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同族会社の行為又は計算の否認(13件)

山本先生の「税務形式基準と事実認定」という著作の中で、「第9章 不動産管理会社をめぐる形式基準」、「第10章 医療関連法人における形式基準」が参考になります。

その217ページで、山本先生は、所得税法157条(同族会社の行為又は計算の否認)を「伝家の宝刀」としている。

上記の国税不服審判所のHPによれば、御上(おかみ)はすでにその宝刀13回もヌイテいることになる。


税務形式基準と事実認定

税務形式基準と事実認定

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「伝家の宝刀」たる所得税法157条(同族会社の行為又は計算の否認)は、このように規定されている。

税務署長は、同族会社等の行為又は計算で、これを容認した場合にはその株主若しくは社員である居住者等の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合に、その居住者の所得税に係る更生又は決定に際し、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより所得金額等や所得税額を計算できる。

やや雑駁(ざっぱく)に解説するならば、同族の間で好き勝手に取引したら、それって租税回避でしょ。

そんなことは許されません。

だから、御上が介入します。

こんなところでしょうか。

この規定ルーツは古い。

金子先生の「租税法」によれば、この規定が設けられたのは、大正12年の所得税法の改正であった。

その後、昭和22年の改正で、「法人税法を免れる目的があると認められるものがある場合」と改正され、さらに、昭和25年の改正で現在にように改められた。


租税法 (法律学講座双書)

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2009年10月26日

銀行借入金の本質

先日、銀行格付けの研修を受けてまいりました。

中小企業の準資本を担う金融機関を意識した決算書作成を指導させて頂くこと。

これも会計人の役割ではないかと学習いたしました。

中小企業は上場会社と異なり、資本が薄い。

したがって、金融機関からお金を借りざるを得ない。

借入金は、返済義務が生じ、負債に分類されるが、その本質は資本金に近い。

私は、資本に準じた性格として、準資本と位置付けています。

金融機関の友人に聞けば、経営者本人は、金融機関に本音を言わない。

弱音を吐けば、金利上昇につながりかねない。

従って、金融機関は経営者のパートナーとなれない。

会計事務所の役割が此処にある。

こう確信しました。
posted by 金沢会計人 at 08:14| 石川 雨| Comment(1) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月19日

突き抜ける生き方

先日、野々市町にある水毛生家で、お茶会に参加し、土橋重隆先生の御講演を拝聴する機会を頂く。

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(水毛生家の庭園。非日常の空間を堪能する^^)

そこで、「突き抜ける生き方―恐慌も病気もマネーが生んだ」を拝読し、西洋医学の限界を知る。


突き抜ける生き方―恐慌も病気もマネーが生んだ

突き抜ける生き方―恐慌も病気もマネーが生んだ

  • 作者: 藤原 直哉
  • 出版社/メーカー: あうん
  • 発売日: 2009/08
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西洋医学では、患部のみに焦点を合わせ、薬を投与する。

クスリは逆から読んだ方がよいとご教授いただく。

聞けば、万が一、ガンにかかったとき、抗がん剤を投与するかと現役医師277人に問うたところ、使うと答えた方は1名であったという。

それだけのリスクをご存じなのだろう。

土橋先生は言う。

人間は、薬で治療を受けても治る力、換言するならば、自然治癒力の偉大さを有する。

意識と体の違いは、体が正直なこと。

右に曲がりたいと意識すれば、曲がることができる。

しかしながら、体は正直だ。

ウイルスが体内に闖入すれば、くしゃみをし、体温を上げ熱をだす。

すべて、正常な反応だ。

クスリで抑え込むのは不自然であり、副作用の症状は本作用となろう。

宇宙の仕組みは、プラス・マイナス、長所短所が共存している。

世の中に100%悪いものは存在しない。

例えば、ある研究によれば、死刑囚もその執行前では真人間になっているという。

人間だれでもよくなる要素を持っている。

だから、希望や夢がどうしたって必要なのだ。

病気もすべてマイナスとは限らない。

病気になったとき、必ずそれに至るプロセス、原因があるはず。

現在の医療システムでは、医師が割ける時間は限られており、結果として医療行為の8割が診断となる。

病院や医院では、病気の原因を追求するのは難しい。

したがって、体調を崩した時、われわれ自身で、生活習慣、視点を変える機会と捉え、病気の原因を知る必要がある。

視点を変えるにはどうすればよいのか。

常識にとらわれずに、突き抜けることだと土橋先生は言う。

まずは、茶会、座禅など非日常に自分自身の身を置き、心身ともにリラックスすること。

ストレスの物質化が病気。

頭を空っぽにする機会を得ることが第一ステップだ。

脳の仕組みを概観すれば、脳幹の周りを大脳新皮質が囲んでいる。

大脳新皮質は、人間の思考を司る。

人は、まだ見ぬ未来を案じ、その新皮質を不安でいっぱいにしている。

体調を崩した時こそ、その脳を解放する時間を持つことが必要だとご教授いただいた。
posted by 金沢会計人 at 03:24| 石川 曇り| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月14日

書面添付とは

≪書面添付の意義≫

会計事務所の多くは、毎月、巡回監査し、例えば、接待交際費についてもその妥当性をきちんと吟味する。

さらに、1円のごまかしもないことを経営者が宣言し、会計事務所が徹底した検閲を行い、最終的に所長税理士がその決算書の品質を保証する。

書面添付したお客様で一件でも脱税が発覚すれば、税理士資格は剥奪され、税理士は無職となり、スタッフとその家族が路頭に迷うこととなる。

いわば、退路を完全に断った覚悟、すなわちスタッフとその家族の全人生を賭けて書面添付を行う。

そういうリスクを背負って作成した決算書であれば、金融機関をはじめ取引先も信頼して頂ける。

≪書面添付は国家のため≫

日本の国家財政は逼迫しており、徴税機関である税務署は慢性的な人手不足である。

税務職員は悪質な脱税先への調査に時間をかける必要があり、我が税理士事務所においても、日本国家に貢献したい。

現在、書面添付には二種類ある。

まず、TKCの巡回監査を実施したお客様に対する書面添付。

次に、いわゆる年一回の確定申告にたいする書面添付。

いずれの書面添付も、書類範囲証明書など一定の要件を具備し、1円の利益もごまかしがないとお客様が宣言すれば上記の覚悟をもって会計事務所は書面添付を行う。

将来的には、北陸の徴税機関が非公式に喜んでいただけるものと確信する。

≪書面添付の定義≫

書面添付とは、法律に定められている制度で、企業が税務申告書を税務署へ提出する際に、その内容が正しいことを税理士が確認する書類(税理士が計算し、整理し、又は相談に応じた事項を記載した書面)を添付する制度。

≪税理士法第一条 税理士の使命≫
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそって、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務者の適正な実現を図ることを使命とする。

≪税理士法第三十五条 意見の聴取≫
税務官公署の当該職員は、第33条の2第1項又は第2項に規定する書面が添付されている申告書を提出した者について、当該申告書に係る租税に関しあらかじめその者に日時場所を通知してその帳簿書類を調査する場合において、当該租税に関し第30条の規定による書面を提出している税理士があるときは、当該通知をする前に、当該税理士に対し、当該添付書面に記載された事項に関し述べる機会を与えなければならない

posted by 金沢会計人 at 10:52| 石川 雨| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年10月06日

財産コンサルティングの本質

椛D井財産コンサルタンツの経営理念は「『社会から必要とされる会社』を創り、『お客さまと社員の幸せ』を追求する」とある。

また、ヴィジョンは、「国内最大の個人財産、法人財務コンサルティング会社として成長し、経済、社会の発展に貢献する」。

蓮見社長によれば、資産家は3つの財産(土地・株式・現預金)を有しており、その三者間の適正なポートフォリオを実現していくことがコンサルティングの本質という。

財務コンサルティングは自社株式を軸に業務をしている。

一方、不動産コンサルティング会社は土地売買を軸にしている。

蓮見氏は、両軸を主力として財務のコンシェルジェを目指す。

財産コンサルティングの本質
1.アセットアロケーション(土地・株式・現預金3つの資産配分)
2.時間軸(100年)
3.地域軸(グローバルな視点)

日本の国土の25%が国有地であり、その額は1,000兆円。

この土地が流動化すれば経済も活性化する。

世界を見渡せば、たとえば、シンガポールは、国有財産の売却・活用で債務圧縮している。

民間においても、世界の金融・不動産売買も視野に入れて、グローバルな視点でコンサルティングを行っている会社も多いと聞く。

今後、不動産の売買は、コンサルティングなしでは不可能となるだろう。

posted by 金沢会計人 at 06:33| 石川 曇り| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月28日

会計人の役割とは

鞄本M&Aセンタ−の経営理念は、「M&A業務を通じて企業の存続と発展に貢献する」。

先日、創業者である分林会長から、経営の視点をご教授いただいた。

その一部をご紹介しよう。

1.人口減少 
2005年をピークとした人口減少は1年ごとに1%減少する。マーケットの縮小は、売上減少となる。きちんと戦略に織り込むこと。また、後継者選択も難しくなっている。世襲で後継者の適性があるものは約2割。M&Aは最適のツール。

2.経営計画による現状把握 
ドラッカーの学習を通じて、経営とは使命感をもって仕事することと喝破。赤字は罪であり、経営者は即刻退場しなければならない。赤字は会社財産の流出であり、スタッフの家族を路頭に迷わせる。会計人は、このような会社に対しては、経営計画を通じて、廃業指導する勇気を持つこと。


○会計人の役割
上場企業のトップは株主から監視されている。一方、未上場企業(オーナー企業)のトップは誰からも監視されない。会計人の役割は、経営の監査を行う。

≪参考≫ドラッカーの視点〜企業の目的と使命

企業の目的と使命を定義するとき、出発点はひとつしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることが、企業の使命であり目的である。したがって、「我々の事業は何か」との問いは、企業を外部、すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる。
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2009年09月23日

なぜ、帳簿が必要なのか?(静岡の坂本TKC会員から学ぶこと)

なぜ、帳簿が必要なのか?(静岡の坂本TKC会員から学ぶこと)

日本は、法治国家であり、商売を営む250万社以上の社長、約200万社の個人事業者すべてに帳簿の作成を義務づけている。

徴税の視点(青色申告)ではなく、帳簿記入の出発点は、商法である。

商法(商業帳簿)
第19条
1.商人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。
2.商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を作成しなければならない。
3.商人は、帳簿閉鎖の時から十年間、その商業帳簿及びその営業に関する重要な資料を保存しなければならない。
4.裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、商業帳簿の全部又は一部の提出を命ずることができる。

≪商法のルーツは破産防止法≫

学生の頃、商法の立法趣旨は、債権者保護とご教授いただいた。

債権者とは企業にお金を貸し付けている金融機関のことであり、彼らを保護するということは、会社を倒産させないことと同義である。

倒産企業の特徴は、帳簿の作成がいい加減であることに着眼したのは、1673年のフランスであった。

当時、現在の日本と同様、大不況であり、企業倒産、自殺、夜逃げが横行していた。

そこで、ルイ14世は、重商主義で有名な大蔵大臣のコルベールに破産防止のための政策立案を求めた。

この商法典の目玉は、すべての商人に決算書作成を義務づけたこと。

1673年の日本は、江戸時代。

例えば、江戸商人にこのルールを遵守させるにはどうしたよいか。

強烈な罰則ペナルティーを用意するしかない。

そこで、この法典は「破産時に決算書を裁判所に提示できなかった者はギロチン刑に処す」という罰則を用意した。

世界史上、初めて死刑担保の「正規の簿記の原則」が確立された法律。

現在、日本でこの法律を施行すると、経営者の首が転がるのではないだろうか。

なぜならば、適時に帳簿を付けなければ処刑されるのだから。

日々、帳簿を作成している会社と、年に2回ほどまとめて記帳している会社の証拠性、どちらが高いか判然としている。

仮に破産した時に、帳簿をきちんとつけていれば、なんとか処刑は免れる。

日本の金融機関も、担保主義という時代錯誤から脱却し、決算書担保の本質を知って頂きたい。

≪1673年フランス・ルイ14世商事王令≫
第 11 章「破産及び破産犯罪」

第 11 条 卸売並びに小売を行う大商人、普通商人及び銀行業者は、破産時に、本王令において命令したごとき署名、略署を受けた記録及び日記帳を提示しないときは、詐欺破産者とみなされうる。

第 12 条
詐欺破産者は、特別訴訟手続によって訴追され、死刑に処せられる。

≪明治23年日本商法の基礎となった1861 年一般ドイツ商法典制定の草案≫
@ 1838 1839 年ヴュルテンベルク王国の商法典草案:理由書
商業帳簿は文書の側面があり、他の人々に対する証拠資料として用いられ得る。他の側面は、商人にその業務の状況に関する一目瞭然性を提供する補助資料であることである。フランス商法の理由書が述べるように、その正規の簿記は几帳面さとまともさを証言し、かつ、運命の神の変動に対する防御に役立つ。無秩序な簿記は破産者の特徴である。それが商業帳簿の重要性とその正規な記帳の必然性の理由である

A1849 年4月のドイツ帝国司法省の一般商法典草案」:理由書≫
正規の商業帳簿の備え付けは、一般的な商慣習並びにすべての商法典によって定められている。その備え付けによって、商人は、正規にその業務を進め、忘却あるいは思い違いによって、自らが損害を被ったり他人に損害を与えず、その個々の事業の成り行きと結果を見通し、かつ、合法性と賢明性という規範に従って従来のやり方を継続すべきか否か、あるいは会社経営に変更を加える必要があるか否か、収支を均衡させる必要があるか否か、さらには業務を中止する必要があるか否かを判断することができるように、規則的に繰り返しやってくる特定の時点で少なくとも一度はその業務のすべての状況を観察するようになる。
商取引において不可欠な信用を置く場合、並びに不注意による倒産あるいは偽装倒産によって信用を悪用する可能性がある場合、単に個々の商人の利益ではなく、世間一般の利益のために正規の商業帳簿の備え付けが必要となる。
二つ目の必要性を提示すれば、商事事件の係争時に、正規に備え付けられた商業帳簿への記帳が事情によっては非常に重要な証拠要素と見なされるという、事物の本性にある






posted by 金沢会計人 at 15:31| 石川 曇り| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月14日

誰のために会計が必要なのか?(静岡の坂本TKC会員から学ぶこと)

税理士試験で財務諸表論を初めて学んだ時、財務会計は、利害関係者のために適正な期間損益計算を行うことを目的としているとご教授いただいた。
事実、アメリカの財務会計は、投資家と債権者などの意志決定のためにあるとしている。
では、利害関係者のない個人事業主に会計は必要ではないのか。
否。
経営者自身に報告することが会計の本質である。
TKC前武田会長もアメリカの会計制度は投資家至上主義であり、中小企業の属性を顧慮していないと喝破している。

ルイ14世商事王令の策定関わったサヴァリーの言葉
「資産、負債について作成する財産目録によって、自己の営業状況が芳しくない事を知るに至った人たちは、そのような状況を知らない場合に比して、はるかに容易に対応策をとりうることもまた本当である。
会社を結成していないから、いかなる財産目録も作成するには及ばないという人たちがいたなら、馬鹿げてはいないだろうか、・・・整理、調整するために、自分自身に説明し報告することが義務づけられていないだろうか。
このようなことを無視して生きていくことは、全く思慮を欠くことだといえないだろうか」

ドイツの高名な会計学者レフソン
「法が外部報告義務のない個人商人に対して年度決算書の作成義務を課しているのは、法が破産に対する商人自身の保護と債権者の保護を指向して自己報告を明らかに望んだことの証拠であり、このことフランス商事王令コンメンタール『完全な商人』において指摘されている」と指摘している。

経済産業省「経営計画策定支援」の基本概念
@記帳の目的が「自己報告」であることを経営者に意識づけること
A「自己報告」が経営計画のもととなることを経営者に意識づけること
B経営計画を策定し、事業を拡大するためには、信頼性ある決算書が必要であることを経営者に意識づけること

(経済産業省HPより 「経営計画策定支援」)
http://www.meti.go.jp/report/downloadfiles/ji2005_01_5.pdf

参考文献 
「会計で会社を強くする」坂本孝司 TKC出版 2008年8月


会計で会社を強くする

会計で会社を強くする

  • 作者: 坂本 孝司
  • 出版社/メーカー: TKC出版
  • 発売日: 2008/08/05
  • メディア: 単行本





posted by 金沢会計人 at 06:42| 石川 晴れ| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年09月07日

STLOWS韓国視察研修

(視察の趣旨)
韓国は経済成長が著しく、金融危機後においてもアジアの中では景気回復が最も早いといわれている。
韓国の人口は日本の約半分、6,400万人である。
そして、世界で最も人口密度が高い国でもある。
今回、STLOWS会員であるN社長のご配慮で、商品の仕入れ先である韓国を訪問させていただいた。

(行程)の一部を紹介しよう。

(板門店見学)
朝鮮の境界線で、38度線の緊張感を味わう。
北が韓国侵略のため、掘った第三トンネルに入ってみる。
かなり深いそのトンネルは、38度線を越え、韓国に侵入している。
トンネルを降り、そして昇りながら、これも我々と同じ人間が作ったものと考えると、人間が集う組織の理念、目的の重要性に気付く。
食物を食べて生きる同じ人間が、敵国に侵入するべく、トンネルを掘る。
一方、社会に役立つために掘るトンネルもある。
歴史の中で分断された朝鮮。
人間の愚かさ、悲哀を感じるとともに、平和を祈る意思を至る所に感じた。
余談ながら、天井の低いトンネルの中を屈みこみながら300メートル以上歩くこととなり、閉所恐怖症でなくとも圧迫感を感じた。
ヘルメットを着用が義務つけられていたわけだが、道中何回も頭をぶつけてしまう(笑)

CIMG2835.JPG

(第三トンネルの前で)

CIMG2836.JPG

(会社視察)

N氏は社長就任してから、国内市場からの仕入れでは競争できないと判断し、知人のご縁から韓国商社から仕入れることを決断。
ウォン安という為替の追い風も受けて、会社業績は社長就任後から伸び続けている。
消費者が女性のため、常にマーケティングを行う必要がある。
一番売上のある小売店に120点ほどのアイテムを提供し、売れ筋をチェック。
それを全国で販売する。
首都圏もあれば地方もある。
渋谷で売れたものが秋田で売れるとは限らない。
したがって、ユニクロのようなスタンダードなものを安く供給することを戦略としている。
最終消費者が何を欲しているか、常にマーケティングする。
そのアイテムを韓国商社と相談しながら、中国の工場で大量生産する。
きまぐれな消費者のニーズを常に把握しなければならない現場に同席し、ビジネスのリスクとともに限りないロマンを感じる。

(最後に)
日本の人口は減り、確実に需要は減る。
世界にマーケットを求めなければ、増収増益プランも描きにくい。
世界の中の日本。
急成長する韓国訪問、そして実際に韓国で商取引するSTLOWS会員N氏との出会いにより、「アジアの中の日本」を実体験させていただいた。
ありがとうございます。

posted by 金沢会計人 at 05:53| 石川 晴れ| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする